Vol.02EV急速充電器導入事例
全国約700店舗の急速充電器を高出力機器へ ファミリーマートの狙いとは
若槇彰様/ 株式会社ファミリーマートクリエイティブオフィス&8

今回のインタビュー先

全国約700店舗の急速充電器を高出力機器へ順次入れ替え

今回のインタビュー先

ファミリーマートでは全国約700店舗に既に急速充電器を設置しており、現在e-Mobility Powerと共同で、順次高出力機器への入れ替えを進めています。2023年1月には第一号となるファミリーマート千葉大宮インター店の入れ替えが完了。これまで1口だった充電口が2口になり、2台同時充電が可能になりました。お客さまにとって、もっと便利で使いやすい、利用しやすい店舗となっています。今回は、プロジェクトを担当する株式会社ファミリーマートの若槇様にお話を伺いました。

急速充電器を店舗に設置した先駆け

ファミリーマートには現在全国約700店舗に急速充電器が設置され、急速充電器設置数でその数は流通・小売業界で一番多いと伺っています。なぜこれほど充電器の設置に力を入れているのでしょうか?

若槇 ファミリーマートが初めて急速充電器を設置したのは2010年です。それから徐々に機器を増やして今にいたります。2010年当時は今のように電気自動車が多くは走っていなかったと思いますし、公共充電器の数も非常に少なかったです。ファミリーマートが充電インフラの拠点になれば、お客さまの利便性が大きく向上すると考え、黎明期から設置に取り組んでいました。
さらに、当社では当時から環境への課題を意識して取り組んでいて、その一環として急速充電器を設置していた背景もあります。

その10年以上前から徐々に増やしてきた約700店舗の急速充電器を、総入れ替えするプロジェクトがあると伺いました。

若槇 はい、2年ほど前からこのプロジェクトが動き出しています。
3年かけて徐々に高出力機器に入れ替えし、特に2023年度は1年で約220店舗の交換を行う予定です。

1年で約220店舗となると、2日に1店舗以上の充電器を設置していく計算になります。かなりのペースで施工されていくプロジェクトですね。1台の充電器を設置するのに、通常はどれくらいの期間がかかるのでしょうか?

若槇 急速充電器の入れ替えは、検討開始から設置完了まで状況次第で1台につき8か月〜1年ほどかかります。年間約220店舗は相当大がかりなプロジェクトです。

充電器を入れ替えると、利用者にはどういった恩恵があるのでしょうか?

若槇 急速充電器は1回30分までと充電時間が決まっているので、お客さまは以前と同じ充電時間であっても、より多く充電できるようになります。
設置する店舗の多くはフランチャイズ加盟店なので、機器の入れ替えには加盟店の導入判断も必要になるのですが、皆さん機器の入れ替えの必要性を感じていると聞いています。

コンビニエンスストアならではの設置の特徴とは?

急速充電器の導入自体が、加盟店のオーナーの判断になるのですね。

若槇 新しく急速充電器を設置するかどうか、判断は加盟店のご意向も必要になります。わたしたちは充電器導入・更新の提案などサポートを行い、加盟店のご理解を得ながら一緒に進めています。また、地主様の同意が必要となります。皆さんのご協力があるからこそ設置を進めていくことができます。
皆さんには、この取り組みにご理解頂き、非常に感謝をしております。

加盟店もそこまで主体となって、導入しているのですね。やはりニーズを感じているのでしょうか?

若槇 今は電動車(EV+PHEV)の数が約33万台(2021年3月末実績)ということもあり、公共充電の需要の高まりを皆さま肌で感じ取っているようです。それと同時に、充電ができる場所も増えて、もっとお客さまにファミリーマートで充電する利便性を感じていただきたいとの思いがあります。

e-Mobility Powerとは、どのような形で一緒に取り組んでいるのですか?

若槇 設置場所や機器の入れ替えのタイミングを一緒に検討しています。e-Mobility Powerさまからの提案で千葉大宮インター店は2口の急速充電器にしており、これがとてもお客さまにとって利便性が高かったようです。また、急速充電器が足りていないエリアを提案いただき、充電器の新設を進めることもしています。

高出力機器への交換で店舗への来店も増加

充電インフラが充実すると、電気自動車のドライバーも安心します。最後に、既に充電器を導入した店舗の反響などがあったらお聞かせください。

若槇 2023年1月に第一号として千葉大宮インター店の充電器を入れ替えたところ、充電器の液晶ディプレイが非常に見やすくなったという声を頂いており、初めて充電される方もストレスなく充電できているように感じます。また、かなり充電の利用者数が増えたようですし、それにともない、店舗の利用にも違いがでているようです。やはりお客さまも同じ30分を使って充電するなら、より多く充電できた方がいいのだと私たちもこの交換で実感しました。

今後の急速充電器の交換にあたり、期待が持てますね。

若槇 そうですね。お客さまはもちろん、加盟店もメリットを感じてくださると分かったので、急速充電器の設置をこのまま計画通り、確実に進めていきたいと考えております。
加えて、充電器を全国の店舗へ普及させ、社会インフラとして整備していくことは、当社の環境に対する取り組みの一環なので、そういった面でも期待されています。ただし、当社だけでは力が及ばず、e-Mobility Powersさまと一緒に同じ船に乗ったつもりで取り組み、少しでも日本の電気自動車用のインフラを整え、社会課題である電気自動車の普及を加速するお手伝いができたらと思っております。